■葬送について 【龍頭(たつがしら)】

龍頭(目は半紙、舌は色紙、首の所を熱で曲げて作ってあります。)竹の節を巧みに利用し、頭部を作り、竹の先端につけ東部の下に袋状にした紙をかぶせ龍の鱗を墨で書く。そして、その前に経文を書いた幡を下げる。主に四本用意したようです。長學寺周りでは、この作り方がほとんどで四幡と龍頭がくっついていることが多かったようです。経文を書いた幡と龍頭がそれぞれ四本ずつ別に作った所もあるそうです。
龍頭は野辺送りのときに、魔物を追い払う、魔除けと考えられたようです。また中国では王権と結びついて皇帝のシンボルとなり、皇帝の顔は龍顔、座る所は龍座ともいわれたそうです。龍は普通の動物とは異なる、特別な聖性をもつ超能力、呪力をもつ対象として古くから信じられていたようです。そこで、神聖なる生き物、仏教の守護神、として役割を担っていたようです。
またその他に、古い中国の石棺には龍に騎乗する人物の図があり、龍は亡き人を天界に送る乗りものであり、死者を龍にのせ速やかな昇天を願ってとの思想を含んでいるという考えもあるようです。
日本にはこうした思想が伝わり、龍は力の象徴として、武家社会では武具等に装飾され、お袈裟にも龍の刺繍は多く見られますので龍が特別な生き物であり、日本で受容され、葬送儀礼にも用いられるようになったと考えられています。

龍頭(竹製、写真右)、龍頭(塗り、写真左)幡と龍頭がくっついていることが多かったようです。経文を書いた幡と龍頭がそれぞれ四本ずつ別に作ったところもあるそうです。